MISCの新サイトオープンを機に始まるショップ紹介のコラム。
その開始を前に、まずはここ目黒通りとMISCのご紹介を。
Text: Yukiko Ushimaru
それは3軒のインテリアショップから始まった。
一歩横道を入れば、古い邸宅も多い静かな住宅街を控えた目黒通り。横浜や東京の城南エリアから都心へと続く主要幹線道路のひとつでもあり、1980年ごろからは外車ディーラーが増加。高級車からマニア好きな車までが通りを飾り、ゆえに車やデザイン好きの趣味人やクリエイティブな仕事をする人たちも多く集まるエリアとして、知られるようになっていった。そんな中、80年代後半に現れたのが、輸入家具やアンティークを扱うインテリアショップ。最初はまだ3軒程度。それがだんだんと増え始め、90年代後半には十数店舗に。この街の雰囲気を表すように、店に並ぶのはアメリカのユーズド家具やミッドセンチュリーの家具、イギリスやフランスのアンティークなど、そのどれもが当時他では見られないようなアイテムばかり。そんなオーナーやバイヤーのこだわりが詰まった高感度な店が、その後も続々と増え続け、いつしかここは「目黒インテリアストリート」として知られるように。ひとつの通りにこれだけインテリアショップが集まっているのは世界的にも珍しく、海外のメディアで紹介されることも多いこのエリアには、現在は60店舗以上のインテリアショップが建ち並ぶ。
“どこにもないもの”を探しに目黒通りへ
そして2007年に結成されたのが、このサイトを運営するMISC(Meguro Interior Shop Community)だ。目黒通りを中心に地域活性化という目標のもと、思いを同じくしたインテリアショップ・カフェなど34店舗が集まった。ちなみにMISCとは“Miscellaneous(=種々雑多な)”という意味も持つ。その名の通り、集まったのは多種多様なショップばかり。様々な国、様々な時代の家具や世界で一つのオーダー家具、あるいは職人技が光るリペアショップやこだわりのコーヒーを出すカフェなど、そのどれもがオーナーやバイヤーの個性が光る唯一無二の店だ。
ぜひふらりと遊びに来てほしい。そして自分のアンテナに何かが引っかかったなら、スタッフに声をかけてみて欲しい。きっとその家具や雑貨に隠されたストーリーや、この店にある意味を教えてくれるだろう。そしてもしその店にはないものでも「そのアイテムだったら、この先にあるショップのAさんが詳しいよ」と、喜んで他の店のことも教えてくれるはず。お互いがそれぞれの店の個性をリスペクトし、強いつながりがあるのもこのMISCの良さだ。
てくてくと通りを歩き、目の前に現れた小さな扉を開けて、MISCのショップへ。人も物も唯一無二のショップがあなたを待っている。
“どこでも売っているもの”はないけれど、“どこにもないもの”それこそがここにある。